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  • 執筆者の写真椛丘 麗歌

黄金色に輝くアブ


この7月、ふらっと行った熊本で、自分の車にとまっている「黄金色のアブ」を見つけました。


アブの写真を撮りながら、ホッとした幸せな嬉しい気分になりました。



「ほら、いますよね。アブにだって。

金色のアブ?まさかそんなものいるはずないでしょう?としか思われない金色のアブが。こうして見事に私の目の前で、黄金色に輝いて存在しています。」という思いで。

そして、このアブが、今度こそ私の過去の証明をしてくれそうで。


私は15歳の時、実家の屋敷の中で「金色の鳥」を見ました。


でも、そんな鳥って普通いません。金色の鳥なんて。鳥類図鑑でいくら調べても存在してない。でも、鳩より少し大きめのその黄金色の鳥は、窓を開けて見ている眼下1mくらい先で、私の方をしばらく見ていました。が、間もなく屋敷の端の木立の方に飛んで行きました。


パンジーを食草とする蝶、ツマグロヒョウモンの蛹も、胸にきっぱりとした、美しい数個の金色のボタンを付けています。これについてはある時「人間の欲望が求めてやまない金の色を、自然はこうもさりげなく創り出す」と書いたことがあります。


とはいえ私が見た金色の鳥は、「あり得ない」方向に存在感があり過ぎます。


しかし、この「黄金色に輝くアブ」で、味方を得たような思いになりました。

そうらご覧なさい。いるはずのないものがいるじゃありませんかと。

私は確かに、15歳の時、金色の鳥を見たのでした。

                        (2022 8/5)


                      


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